ブラジルのサッカーを初めて見た印象
アンドレーアの人生で重要な特徴として『サッカー選手』が挙げられます。
実は私(きたがわ)は、日本では元々プロ野球(埼玉西武ライオンズのファン)を見てきた為、ブラジルに住んでいながらサッカーの試合を殆ど見ていません。現地でお付き合いしたブラジル人の友人も元々サッカーを見ない方ばかりで、会話でもサッカーが話題になることはありませんでした。
もちろん現地のテレビを点ければサッカーの中継はありますが、当時はポルトガル語を全く理解できなかったこと(当時通っていた高校がインターナショナルスクールで、英語による授業についていくために英語の勉強を優先した事情がありました)と、「ブラジル国内でいくつプロクラブがあるのか(A. 約870クラブ)」、「プロ選手は何人いるのか(A. 約9万人)」、「スター選手は誰なのか」、「トーナメントの方式はどうなっているのか」という基礎的な知識が欠けていました。当然ながら、南米中を相手にした国際試合もやっていたなんて知識もありません。
加えてテレビ中継を見て得た私個人の第一印象は『応援が過激すぎて危険』でした。しかもピッチ内では警察(機動隊のようにヘルメットと盾を装備)が常に待機しており、フーリガンの発生があることも示しています。ファンが激しい言葉で応援・挑発し、発煙筒を焚き、チームバスの取り囲みや、負けてエキサイトすると暴動を起こして警察とやりあう。そんな状況を見て、自分の身を守る意味でもスタジアムに行きたくなったり、サッカーに興味を持つ気持ちは一切起きませんでした。
(以上はあくまで『個人の感想』です。サッカーが好きで見に行きたい方は、観戦ツアーも用意されているのを聞いております)
危険な目に逢わない為には、『危険な場所には最初から近づかない』ことがブラジルで暮らす最低限のルールです。よって私も親から聞かされていた最初の言いつけが、通学や家族のお出かけ以外で「一人で自宅から出ない」ことでした。
オーバーな内容に聞こえるかもしれませんが、当時は子供であるだけでなく「ポルトガル語が出来ない=自分の主張が伝えられない=トラブルが起きても何もできない」なので、最善の策は外出しないことという結論になりました。(なお、ブラジルでの通学はスクールバスがあり、家族のお出かけは自家用車を利用しました)
ブラジル人は全員サッカーが出来る訳でも、サンバが踊れるわけでもありません。他に音楽や格闘技など他の分野でも独自の魅力もある国なので、意外とサッカー抜きでも暮らすことが出来ます。
ブラジルのワールドカップと愛国心
そんなブラジルサッカーでも、日本人として「羨ましいな」と思うことがありました。
私は住んでいる間に、1度だけワールドカップを見る機会がありました。
1994年のアメリカで行われた大会で、個人的に人生で初めての観戦でした。
試合前には全てのブラジル人が勝利を願い、誇り高くブラジル国歌を歌う。
『セレソン・ブラジレイラ』(ブラジル代表)にゴールが入ったら、ブラジル人全員が飛び跳ねて騒ぐ。街中の車はクラクションや爆竹を鳴らしまくる。そして試合に勝てば大通りが占拠される。
それはスタジアムに居ようが、テレビの前に居ようが、街に出ていようが、ブラジル以外の外国に居ようが同じで、初めて彼らの持つパワーと一体感を目の当たりにしました。
最終結果としてブラジルは決勝戦でイタリアを破り、4度目の世界一になりました。
この年のブラジルは国民的英雄のF1レーサー、アイルトン・セナを失ったばかりでサンパウロでは国葬も行われました。天国に旅立った国家のヒーローに捧げる「世界一」の称号でした。
実はブラジルでは『オリンピックの金メダルより、ワールドカップ優勝が格上』とみなされています。しかも日本と大きく違っているのは、国民もマスコミも政府も全て「自分の国の勝利のために」誇りをかけて情熱を注ぎます。その結果が史上最多の5度の優勝をもたらしています。
日本だとワールドカップでの目標が極端に低かったり、マスコミが言うライバル国がただ隣に位置するだけで大した強豪国でもなかったり、最初から優勝を目標とした前提で出場していませんね。
世界が舞台なら、世界一を目指すのが当然の大会で、そんな低レベルな目標で誰が見たいんでしょうか?
私は日本人なのでブラジル人になることは出来ませんが、見せつけられた彼らの「自分の国に対する愛国心」は、後にアンドレーアをサッカー選手にさせた大きな要因となりました。(つづく)
このサイトでは、このサイトの主人公であるブラジル人少女「アンドレーア」をきっかけに、ブラジルや南米についてご興味をもらっていただきたくコラムを書いております。
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